僕の耳は1セットしかない。 From Editors No.934
From EditorsNo.934 フロム エディターズ
僕の耳は1セットしかない。
ラジオの原体験は中一ぐらいだった気がする。福岡で野球少年だった僕は文化的活動がゼロだったが、なぜか夜寝る時はラジオを聴きながら寝ていた。福岡の同世代がほぼ全員が聴いていたと言われる「PAO~N ぼくらラジオ異星人」(KBC九州朝日放送)と「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)が僕の寝入りのレギュラー番組だった。この頃の「オールナイトニッポン」のパーソナリティは、月曜日がデーモン小暮、火曜日がとんねるず、水曜日が小泉今日子、木曜日がビートたけし、金曜日が鴻上尚史だった。(平日の夜しか聴いていなかったので、土曜日のパーソナリティは記憶になかったが、調べてみると、ABブラザーズや圭修が担当していたそうだ)。特に水木が好きで、その日は布団を頭までかぶり、最後まで聴いて、朝寝坊をしていたことを覚えている。
あの頃以来、僕の日常に“聴くこと”が侵食し始めている。あの頃と違うのはradikoやpodcast、Audibleやclubhouseと増え続ける、聴くメディアの存在だ。いつどこにいても聴けるし、楽しいし、あの頃以上に“聴くこと”を求める自分がいる。
そんな中での7年ぶりのラジオ特集。そろそろ僕の耳が空いている時間がない。朝寝坊どころの話ではない。僕にとって、とても危険な号が完成してしまった。
●伊藤総研(本誌担当編集)