正解はいつも東京です。 From Editors No.919
From EditorsNo.919 フロム エディターズ
正解はいつも東京です。
「アナタは、ドコに住みたいですか?」国内外の友人たちに、聞かれると、迷うことなく「正解は東京です」。好きなところをあげれば、キリがない。ひとつに絞れと言われれば、忙(せわ)しないところが好きです。元来、退屈力(なにもせず、のんびりできる能力のこと)のない自分。長年住んでいても、常に新しい“遊び方”が生まれる東京は、本当に気忙しくて、そこが楽しくて仕方がありません。なかでも、食は、東京の最大の魅力のひとつ。今気になるのは、最新店よりも、あまたある東京の美味しいものを、みんながどのように楽しんでいるのか、その遊び方。ブックインブックでは、Tokyo Whole Foods Catalogと題して、80人80様の東京メシの正解を聞きました。ちなみに、自分の場合は。
「口開けの正解」
オープン直後に一番乗りで入店することを“口開け”と呼んでいます。人気店には1時間前に並ぶこともしばしば。開店30分後に店に行って、いつ自分の順番がやってくるか、気をもみながら並ぶ時間は永遠のごとく。狙いのメニューも食べられないと考えると絶望です。口開けの醍醐味は、立石の宇ち多゛。常連は宇ち入(うちいり)といいます。番頭さんの指導のもと、美しくレイアウトされた順番待ちの列が、開店と同時に、スポッときれいに席につく(ハマる、という表現のほうが合致)様は爽快。祐天寺のもつ焼き屋・忠弥もマスト、江戸川区、どこの駅からも遠い、陸の孤島のような場所にある中村屋は、その外観を見ながら並ぶと時間と空間のトリップも味わえます。
●杉江宣洋(本誌担当編集)