マガジンワールド

Special Contents 教科書や専門書には載っていない、美術鑑賞の視点。

美術作品や作家について、さまざまな肩書きを持つ19人が独自の視点で語る今号。ここでは、3人の人物が作品や作家について語った「言葉」を紹介します。詳しい内容、他16名の“視点”は本誌にて!


フェルメール/小路
フェルメール(1632〜1675)
谷川俊太郎を虜にした
最初の邂逅はこの絵から。
小路
フェルメールの家の窓から見た、向かいの養老院を描いたとされる、2点しか現存しない風景画のうちの1点。水平垂直で構成された建物の間に、3組の人物を点景として配することで、奥行きを演出している。1658年頃、アムステルダム国立美術館蔵。


「 魂の内側の暗がりや混沌より、
自分の外に見えるものを信じていた人 」
谷川俊太郎
谷川俊太郎
●詩人
たにかわ・しゅんたろう/1931年東京都生まれ。52年に第1詩集『二十億光年の孤独』を刊行。日本翻訳文化賞、読売文学賞、鮎川信夫賞など、受賞・著書多数。詩作のほかに絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表している。



エル・グレコ/聖衣剥奪
Iberfoto/AFLO
エル・グレコ(1541〜1614)
建築と一体化して
見る者の心を揺さぶる。
聖衣剥奪
「エル・グレコが描く服って単色か、せいぜい2色くらい。服自体もかなり単純で、それが色の塊になっていて、塊をボコボコ配置することで画面を構成していくようなところがある」。ボリューム豊かな体驅と彩色が、イタリアでの学習を物語る。1577〜79年、トレド大聖堂蔵。


「 きれいごとで完結させずに、
アクの強さがいつも作品に刻印されている 」
平野啓一郎
平野啓一郎
●小説家
ひらの・けいいちろう/1975年愛知県生まれ。『日蝕』で芥川賞受賞。『空白を満たしなさい』『透明な迷宮』ほか著作多数。国立西洋美術館『非日常からの呼び声』展でゲストキュレーターを務めた。毎日新聞朝刊にて『マチネの終わりに』連載中。



土偶
土偶
山形出身の大型土偶は八頭身美人。
縄文の女神
大型土偶の中でも最大のサイズ(45cm)を誇り、最も新しく国宝指定を受けた。眼・鼻・口の表現はなく、W字のシャープな胸、尖ったような腹、えぐったような尻など、デフォルメされた現代的でシャープな造形が見どころ。BC3000〜BC2000年、山形県立博物館蔵、国宝。


「 基本的な造形のセオリーが、
既に土偶の中に見えている 」
佐藤卓
佐藤卓
●グラフィックデザイナー
さとう・たく/1955年東京都生まれ。電通を経て、84年に佐藤卓デザイン事務所設立。パッケージデザイン、ロゴ、シンボルマークから展覧会やテレビ番組の企画まで、さまざまな領域と領域、人と人の「間をつなぐ」デザインを、幅広く手がける。


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