恋と、多様化。広がる恋の形を作品から紐解く。 Special Contents BRUTUS No.926
Special Contents 恋と、多様化。広がる恋の形を作品から紐解く。
LGBTQに象徴されるように個々のセクシュアリティが多様化する今、あらゆる関係が「恋」の一つとして受け入れられつつあります。実践には弱いけれど、恋が描かれたカルチャーには目がない小誌編集部員AとBのコンビが、様々な関係に光を当てる作品を求めて東奔西走。すると“真の恋”が見えてきました。
真逆の男子高校生が、ピュアに惹かれ合う。
『あちらこちらぼくら』たなと 著
明るくクラスの中心的存在・真嶋と、内省的で地味な園木。一見嚙み合わないはずの2人が少しずつ心を通わすさまを描いた青春漫画。朝に目を覚ました時に相手のことを思い出したり、突然出くわして顔を赤らめたりする2人の純粋さは、爽やかな恋の始まりを想起させる。上下巻。ホーム社/各920円。
嫌悪と抵抗感が恋に変わる時。
『最初の悪い男』ミランダ・ジュライ 著/岸本佐知子 訳
小説の主人公は、孤独ながらも妄想に浸ることで快適な生活を謳歌する43歳独身のシェリル。ある日、衛生観念ゼロ、美人で巨乳、足の臭い上司の娘、クリーが転がり込んできたことで生活は一変。すさまじい嫌悪から始まった2人の関係は、やがて恋とも、家族とも言える強固なものになっていく。新潮社/2,200円。
規定し得ない、唯一無二な恋の形。
『性別が、ない! インターセックス漫画家のクィアな日々』
身体的には女性として生を受け、30歳にして、男でも女でもない中間の性・インターセックスであることが判明した漫画家・新井祥に迫ったドキュメンタリー作品。離婚を経て、新たな恋へ自分らしく踏み出すさまには、個々の性や恋をカテゴリー分けによって規定する無意味さを感じる。マクザム/4,000円(DVD)。