現代詩を読めば、心のありようが分かる。 From Editors No.930
From EditorsNo.930 フロム エディターズ
現代詩を読めば、心のありようが分かる。
読書特集「世の中が変わるときに読む本。」では、「余白の中に現る自己。現代詩は心のリトマス紙。」(本誌P38)という企画を担当することに。このページでは、詩作を中心に、アートや演劇等ともクロスオーバーした活動をするユニット〈TOLTA〉のメンバー・山田亮太さんに現代詩の読み方を聞き、社会が変動する中で読みたくなる詩を厳選して紹介してもらいました。
ここで取り上げた詩は、文法を取っ払った難解なもの(鈴木一平「私を反映させるには」)もあれば、雪景色の描写(暁方ミセイ「世界葬」)、詩人が13歳の気持ちを呼び覚まして綴った感情(三角みづ紀「孵化する日まで」)など、それぞれ言葉のキャラクターは異なります。が、これらの詩の読み方には共通点がある。
山田さんいわく「詩は読み手の解釈に“余白”が与えられた寛容な文化です。同じ人が同じ詩を読んでも、その時の環境や年齢、置かれている状況によって感じ方が変わる。ゆえに何度も読むことで自分の心のありようや変化を測ることができます」と。
作者の意図を“読解”する必要はなくて、綴られた言葉や行間に“心が惹かれたら”理由をじっくり考えることが重要ということです。
それならば、難しい説明は抜きにして、素直に現代詩に読める(触れる)ことができるページにしたい……と考えていた時、編集部の先輩に勧められたのが、歌人・伊藤紺さんの詩集『満ちる腕』をデザインしたアートディレクター脇田あすかさんでした。この本の中では、短歌の言葉が途中でグニャリと曲がっていたり、傾いていたりとても自由。今回の現代詩も言葉を扱うページ。彼女にデザインをお願いしてみようと申し込んだところ、ご快諾いただき、“ベージュ色”の背景の上で、それぞれの詩の特徴が強調された誌面が完成しました。
そう、現代詩は心のリトマス紙です。読めば、あなたの自身の色が見つかるかもしれない。