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今年開催の展覧会が、会えるチャンス! あのアート好きが、この目で見たい、この絵画。 Special Contents BRUTUS No.848

Special Contents 今年開催の展覧会が、会えるチャンス!
あのアート好きが、この目で見たい、この絵画。

国内・国外から今年見逃せない展覧会と注目すべき一枚を、顔ぶれ豊かなアート通12名に聞いた。2017年後半も、未曽有のテーマを掲げる企画展から新作まで、目撃したい絵画がゾクゾク登場! 夏休みや休暇に、会いに行きたい絵がそこにある。


林 綾野 ●キュレーター

画家の人生を辿るように絵を感じて。

アメリカ出身の双子の兄弟、クエイが生み出す人形アニメーションは幻想的。箱の中に仕掛けられた作品は映画の舞台のようで、驚きとおどろおどろしさを湛えています。展覧会では、セットが見られるので、その精巧さを目の当たりにしたいですね。イラストレーションも得意とする2人が、70年代に制作した素描作品も独特の世界観があって味わい深い。そしてなんといっても、長年敬愛するジョージア・オキーフ! ニューメキシコで後半生を過ごした彼女は、荒野にさらされている動物の骨に強く惹かれ、それを集めては描いた。彼女にとって骨はその動物のことをありありと伝える存在だったといいます。画家の思いを象徴するこの絵とじっくり向き合ってみたいです。
Profile
はやし・あやの/雑誌連載や単行本の執筆などでも活躍。『画家の食卓』(講談社)など、著書多数。死ぬまでに見たい一枚:フラ・アンジェリコ「受胎告知」(サンタ・マリア・デレ・グラツィエ修道院)。
ジョージア・オキーフ 「雄羊の頭、白タチアオイ、小さな丘」1935年 Courtesy of Brooklyn Museum; Bequest of Edith and Milton Lowenthal Photo: Brooklyn Museum
ジョージア・オキーフ
「雄羊の頭、白タチアオイ、小さな丘」1935年
オキーフの生涯を追いながら、作家のクリエーションを紐解く展覧会『Georgia O’Keeffe : Living Modern』で展示。絵画や写真作品と共に、彼女が愛したワードローブを展示する新たな試み。ニューヨークのブルックリン美術館で7月23日まで開催。
クエイ兄弟「喜びの電気拷問」1970年代 courtesy Tommy Simoens, Antwerp
クエイ兄弟
「喜びの電気拷問」1970年代
アニメ、映画、CM、舞台美術など幅広い分野で活躍するクエイ兄弟。大規模な回顧展となる『クエイ兄弟−ファントム・ミュージアム』には、イラスト、アニメーション制作時の舞台装置、映像などが展示。松濤美術館(渋谷)で6月6日〜7月23日。



田中義久 ●グラフィックデザイナー

展覧会では、いつもと違った視点で眺めてみたい。

最近NYに行く機会があり、グッゲンハイム美術館で開催中の『Visionaries』展で大好きなカンディンスキーの絵を鑑賞することができました。膨大なグッゲンハイムのコレクションを中心に近代美術の流れをわかりやすく紹介し、フランク・ロイド・ライトが設計した渦巻き形の建築ともリンクした良い展覧会です。カタログのデザインもまた秀逸でした。国内では『ジャコメッティ展』を楽しみにしています。ジャコメッティは、弟をたびたびモデルにしていますが、共同でアトリエを構え、作家の一番近くにいた存在なんですね。シュルレアリスムやキュビスムなど、作家が影響を受けた時代を超えて描き続けています。シリーズとして見ると、より興味深いと思います。
Profile
たなか・よしひさ/写真集やアーティスト作品集を手がける。アーティストデュオ〈Nerhol〉としても活動。死ぬまでに見たい一枚:ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「悔悛するマグダラのマリア」。
アルベルト・ジャコメッティ「ディエゴの肖像」1919年 マーグ・コレクション、パリ ©Photo Galerie Maeght, Paris
アルベルト・ジャコメッティ
「ディエゴの肖像」1919年
20世紀を代表する彫刻家、ジャコメッティの没後半世紀を経た大回顧展『ジャコメッティ展』に展覧。彫刻作品のほか、作家の不断の探究を伝える素描や版画、写真なども見どころ。国立新美術館(六本木)で6月14日〜9月4日、豊田市美術館で10月14日〜12月24日。
ワシリー・カンディンスキー「コンポジション8」1923年 ©2016 Artists Rights Society (ARS), New York/ADAGP, Paris
ワシリー・カンディンスキー
「コンポジション8」1923年
グッゲンハイム・コレクションから約170点のモダンアートが並ぶ『Visionaries : Creating a Modern Guggenheim』に出展。ほか、パウル・クレー、ジャクソン・ポロック、ピエト・モンドリアンなど。グッゲンハイム美術館(NY)で9月6日まで。



点子 ●モデル

絵に宿る迫力を目の当たりに。

初めてレオナルド・ダ・ヴィンチの作品を実際に見たのは、ロンドンのナショナル・ギャラリーを訪れた時。「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」や「岩窟の聖母」を前にして、とにかく感動。今回の展覧会では素描も多く見られるそう。人体をこれでもかと解剖するように何度も研究した線の跡には、画家の執念が滲んでいるようで迫力がすごい! テート・ブリテンでのクィアアートを集めた展示もぜひ。20世紀初頭にイギリスでヴァージニア・ウルフを中心に結成された〈ブルームズベリー・グループ〉。その一員だったダンカン・グラントという画家に惹かれます。当時、ゲイの人たちには社会的な困難があったと思うのですが、だからこそ絵に表れた開放感が美しいです。
Profile
てんこ/女優、アーティストと幅広く活躍。現在、ロンドンのセント・マーチンズ美術大学に在学中。母はアーティストの花代。死ぬまでに見たい一枚:リュボーフィ・ポポーワ「モデル」。
ダンカン・グラント「水浴び」1911年 ©Tate
ダンカン・グラント
「水浴び」1911年
イギリスのクィアアートに焦点を当てた世界初の展覧会『Queer British Art 1861−1967』で披露。ダンカン・グラントのほか、デイヴィッド・ホックニーやドラ・キャリントンらによる絵画、写真、フィルムなどの作品が展示。テート・ブリテン(ロンドン)で10月1日まで。
レオナルド・ダ・ヴィンチあるいはチェーザレ・ダ・セスト「老人の頭部」1510−15年頃 トリノ王立図書館蔵 ©Torino, Biblioteca Reale
レオナルド・ダ・ヴィンチあるいはチェーザレ・ダ・セスト
「老人の頭部」1510−15年頃
芸術家の力量を示す上で最重要とされる、素描に秀でたルネサンス期の二大天才、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ・ブオナローティを対比する日本初の展覧会『レオナルド×ミケランジェロ展』に展覧。三菱一号館美術館(丸の内)で6月17日〜9月24日。


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死ぬまでにこの目で見たい 西洋絵画100

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