マガジンワールド

From Editors No. 811 フロム エディターズ

From Editors 1

実はハワイ嫌いだった私が、
どんどんハワイを好きになる理由。

なにをかくそう、私はハワイ嫌いでした。食わず嫌いのほうです。「芸能人だらけなんでしょ」「ロコモコとパンケーキしかないんでしょ」「どこに行っても観光地なんでしょ」……。世界中の僻地に好んで旅をしていた私ですが、ハワイは死ぬ間際にでも行ければいいかなくらいにまで思ってました。で、数年前。どうしても断れない理由で初上陸したのですが、ひたすら謝り通しでした、ハワイに。ほんと見た目で判断してごめんね、と。周りの旅仲間にこの話をしたら、同じような経験をした人がちらほら。その時、思ったのです。ハワイのことが心底嫌いな人なんて、いないんだと(食わず嫌い除く)。

今回の、8ページにわたる両観音開きの巻頭企画「100人のMYハワイ」でも、それが立証されました。みなさん、気持ち良く答えてくれるのです。そして、それぞれのオススメスポットを持っている。ではなぜ、そんなにも私たちはハワイに惹かれるのか? その理由が詰まっているのが今回の特集です。特にここ数年で変わりつつあるハワイを支えるのが、若きクリエイターたちの活躍。海外での経験を経て地元で新しい挑戦をする人たちもいれば、サンフランシスコやポートランドからよりレイドバックした環境を求めて移住してきた人たちも。レストランやバー、ショップ、アートに音楽と、そこかしこでただ“トロピカル”なだけのイメージからの脱却を目指した、新しい“オーセンティック・ハワイ”への挑戦が行われています。そしてその進化を遂げようとするハワイの姿こそ、私たちをさらなるハワイの虜にさせるのです。

一方、変わりゆくこの島にあっても忘れることのできないハワイの魅力も、今回、きちんと伝えて行きたいと思いました。その小冊子の編集をお願いしたのは、『ポパイ』『ブルータス』の編集長を歴任した希代の編集者、石川次郎さん。1980年ブルータス創刊当時の立ち上げメンバーだったジミー・ネルソンさん(現在はホノルルで弁護士)も加わり、そんな大先輩たちと一緒に記事をつくることができたのは貴重な体験でしたし、今まで気付かなかったこの島が持つ物語を改めて知ることができました。新しいことについ目が行きがちなハワイですが、読み応えのある小冊子になったかと思います。

最後に、僭越ながら巻頭企画にならって、私にとっての「MYハワイ」を。実は企画にうまくハマらず惜しくも特集本編に載せられなかった場所ばかり……。ここでこっそりお教えしておきます。

 
A:Dagon  B:Nico’s Pier 38  C:Kono’s
モイリイリにあるAはハワイでは珍しいミャンマー料理。 BYOB(Bring Your Own Bottle/アルコール持ち込み制)なので好きなお酒を買い込みつつ。数日滞在してポキ丼に飽きたらBへ。ホノルルの魚市場の中にあるのでフレッシュな魚が食べられる。ここでショーケースから魚を選び三色丼にするのが好き。ハレイワにあるCでは、グリーンサラダの上にカルアポークをどっさり乗せパパイアシードのドレッシングをかけた「Pig on Grass」を。ボリュームのわりにぺろっといけます。
 
●田島 朗(本誌担当編集)
上からAのDagon、BのNico's Pier 38のカスタム三色丼(マグロ・サーモン&とびこ・アサリ)、CのKono'sのPig on Grass。
上からAのDagon、BのNico’s Pier 38のカスタム三色丼(マグロ・サーモン&とびこ・アサリ)、CのKono’sのPig on Grass。



From Editors 2

初体験の2人も、
まんまと好きになりました。
だって、ハワイだもの!

BRUTUSのハワイ特集はじつに13年ぶり。つくる方からすると、じつは難しいお題です。ハワイの魅力を改めて語る必要もないという気がして。だって、ハワイだもの。みんな好きだもの。

ところが、100人アンケートをはじめ、「好き」の部分にフォーカスしてみると、共有されるものばかりではない多彩なハワイが浮かび上がってきました。人をフィルターにしてハワイを知る、そんな特集になったのではないでしょうか。

そして、今回の特集に登場してくれたなかで、初ハワイの方が2人。西荻窪<organ>シェフの紺野真さんとヴィンテージショップ<Swimsuit Department>代表の郷古隆洋さんです。紺野さんはLAに10年の在住歴があり、郷古さんも買い付けでアメリカ西海岸には年に数度足を運んでいるのですが、不思議とハワイには縁がなかったと。「行ったらきっと楽しいんだろうな」というぼんやりした思いはあったといいますが、実際に行くほどのモチベーションはなかったということでしょう。

紺野さんには変わりゆくハワイのフードシーンを象徴する店を巡ってもらいました。それこそかつてのハワイは、美味しいものを食べに行くところではなかったでしょうし、そのイメージを紺野さんも持っていたのかもしれません。しかし、今のハワイには、地産の食材を活かしながら、アイデアをもってどん欲に料理の向上を目指す若手のシェフが多く現れています。彼らと言葉を交わすうちに、紺野さん自身がインスピレーションを受けているような場面に何度も出会いました。

郷古さんは、ヴィンテージショップやスリフトショップを巡りながら、トレジャーハント。とくに一般家庭からの寄付などで出てくる生活用品が売られるスリフトショップは、ガラクタのようなものもある一方で、丹念に見て行くと掘り出し物があるもので。最初に行った店で、数万円はつけられそうな陶器の名品を4〜5ドルで手に入れたことで、郷古さんのスイッチは完全にオン。帰国日も時間ギリギリまで、市場を巡っていました。そして空港まで送って別れるときには「帰りたくない…。また年内に来るかも」と言い残していくことに。

日本人にとって、世界の数多のリゾートの中でも“スタンダード”な存在であるハワイ。好きになるポイントは人それぞれだけれど、誰にとっても必ず好きになるポイントがある。そんな懐の広さが、ハワイを唯一無二のスタンダードにしているのだなと思った次第です。

最後に、せっかくなので私も「MYハワイ」挙げてみます。今回の取材旅でテンションぐーんと上がったオアフ島の飲食3店。

 
A:いやすめ  B:The Pig & The Lady  C:Cafe DUCK BUTT
Aは滞在していたワイキキにあった売店。朝にここのスパムむすびでがっつり腹ごしらえしてから、いざ取材へというのが日課でした。Bは特集でも紹介したモダン・ベトナミーズで、フォーやバインミーも美味しいですが、隣の人が食べていたカレーが気になって、2日続けてランチに行ってしまいました。ロケバスの中で「何食べる?」「カレー!」となったときのスタッフのテンションの上がりっぷりったらなかったです。Cはいま注目のエリア、カカアコにあるカフェというか、オシャレなカラオケパブ? 半分に切ったスイカの実をくりぬいた中に焼酎をどばどばとそそぐスイカソジュは非常に楽しく、学生時代みたいなムチャめな飲み方をしてしまいます。
 
●中西 剛(本誌担当編集)
上・話題のレストラン〈Mud Hen Water〉のシェフ、エド・ケニーと語り合う紺野真さん。下・滞在最終日、ギリギリまで蚤の市で掘り出し物を探す郷古隆洋さん。
上・話題のレストラン〈Mud Hen Water〉のシェフ、エド・ケニーと語り合う紺野真さん。下・滞在最終日、ギリギリまで蚤の市で掘り出し物を探す郷古隆洋さん。


 
ブルータス No. 811

みんなハワイが好きだから

680円 — 2015.10.15
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ブルータス No. 811 —『みんなハワイが好きだから』

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