約40年前に「男の悦楽」をキーワードに創刊したBRUTUSで、「勉強」を1冊で特集するのはおそらく初めて。特集の骨子や内容はだんだん決まっていったものの、このテーマを表紙で、いかに簡潔に嫌味なく伝えるか、少々悩んでいました。

それとは別で、中の特集ページで使うイラストについて考えていた時、上がった名前がサレンダー橋本さん。『週刊SPA!』の「全員くたばれ! 大学生」や『ヤングチャンピオン』の「明日クビになりそう」の連載でもおなじみの漫画家さんです。特集ページで描いてもらうのももちろんいいけれど、子どもと大人の狭間、日常、プライドや憎悪を優しく、コミカルに描く橋本さんなら、表紙にぴったりな1コマを描いてくれるかもしれない。そう思ってお願いして、完成したのが表紙と特集扉の「かけ合い」です。

取材させてもらった方々の言葉を思い返しても、みなさん、出自や年齢に関係なく、学びの始まりは「知りたい」「わかりたい」といったまっすぐな欲求からでした。そういう意味では勉強も、自分の欲求を満たす悦楽なのかもしれません。ちなみに……特集ページの全見開き左下にもあの男の子を描いていただいたのですが、どこかに1体だけポーズ違いがいます。ページをめくりながら、ぜひ探してみてください。