マガジンワールド


Special Contents WOODEN CHAIRS, BENCHS&STOOLS

1950〜60年代を中心にした巨匠デザイナーの名作椅子から現代の逸品まで、今欲しいと思える木の椅子をご紹介。籐や竹素材もプラスして、ベンチやスツールまで網羅する本誌から4脚を公開します。

PP129 Web Chair

PP129 Web Chair

PP129ウェブチェア(1968)
Hans J. Wegner|ハンス・J・ウェグナー
ウェグナーのラウンジチェアには、座面を支えるフレームの後ろ側を伸ばして後脚にしたものが多い。すると必然的に重心が低くなり、座面は後ろへと傾斜する。そんなゆったりした座面に、上半身全体を余裕で支える大きな背もたれを合わせたウェブチェアは、ウェグナー有数の安楽性の高さが特徴。幅も奥行きもたっぷりで、部屋の中にもう一つの空間を作るようなボリューム感がある。主要なパーツは無垢材の削り出しで、手や体に触れた時に不快感を与えない滑らかなフォルムが最大限に用いられた。例えばアームの内側は、えぐるように丸く削ってあり、まるで座った人が立ち上がるのを拒むかのよう。背もたれのロープは結び目ではなく金属のパーツでパターンを固定し、体への当たりを抑えている。2007年に92歳で世を去ったウェグナーは、ほぼ生涯にわたり現役だったが、1968年に手がけたこのデザインはすでに円熟の境地を思わせる。
オーク、ファブリック、ブラックハリヤード W86×D86×H104×SH40cm 742,000円(PPモブラー/スカンジナビアン リビング☎03・5789・2885)
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Tabouret Berger

ベルジェ スツール(1953)
Charlotte Perriand|シャルロット・ペリアン
無垢の木が持つカタマリ感を残しつつも、愛らしくユーモラスにデザインされた小さなスツール。ル・コルビュジエらとともに数々の名作を手がけたシャルロット・ペリアンの、代表作の一つ。羊飼い(ベルジェ)が使う小椅子からヒントを得たというだけあって、腰を下ろした時の安定感が抜群。分厚い座面はなだらかにへこんでおり、尻へのアタリも柔らかい。「シンプルな自然素材は、創造力をかきたてる」が口癖だったペリアンは、モダンなデザインを手がける一方で、木の味わいを生かした原始的なフォルムを愛好。農民の暮らしに見る伝統技術を応用したデザインも多かった。また、建築家・坂倉準三の尽力で1940年に来日して以降、何度も日本を訪れては各地の伝統工芸職人と交友。日本のデザインに大きな影響を与える。53年にデザインしたこのスツールも、世界初披露されたのは、55年に東京で行われたコルビュジエらとの3人展だった。
オーク φ33×H27 cm 80,000円(カッシーナ/カッシーナ・イクスシー青山本店☎03・5474・9001)


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The Spanish Chair

スパニッシュチェア(1958)
Børge Mogensen|ボーエ・モーエンセン
庶民のための家具を考え続けた巨匠ボーエ・モーエンセンの作。スペインの貴族階級が使っていた一枚革の木製椅子を、自宅用にリデザインした。大胆な革使いを美しいデザインとして成立させているのは、どっしり骨太な木製フレーム。サイドテーブルとして使えるほど幅が広いアームも、特徴の一つだ。木部と革との絶妙なバランスが、ラウンジチェアとしての素朴で力強い美しさを生み出している。
オーク、レザー W82.5×D60×H67×SH43cm 480,000円〜(フレデリシア/フレデリシア ファニチャー ☎03・5789・2897)
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Bench153B

ベンチ153B(1945)
Alvar Aalto|アルヴァ・アアルト
北欧のモダニズム建築における最大の巨匠、アルヴァ・アアルトの家具には建築家としての視点が生きている。フィンランド特産のバーチ材を使ってデザインされたこのベンチは、特定のテイストに偏ることなく、人が暮らす空間の邪魔をしない。単体として目を引くというよりは、空間全体の調和を作り出すことで価値を発揮するグッドデザインだ。L字型の脚部は名作・スツール60と同じ製法。
バーチ W72.5×D40×H44cm 62,000円(Artek/SEMPRE AOYAMA☎03・5464・5655)