マガジンワールド

From Editors No. 827 フロム エディターズ

From Editors 1

読んで、トロピカル。
気分は、フルーツ。

5年ほど前から、毎年夏、奄美大島からパッションフルーツとマンゴーを取り寄せている。奄美大島の取材で出会った〈M.M Farm〉という農園からだ。

どちらのフルーツもそれまでの人生で食べ慣れているとはいえないものだった。が、現地でパッションフルーツを食べたときの脳天にまで届く鮮烈な酸味と、じわじわ後から押し寄せる甘み。さらに。その場で、半分に割ったパッションフルーツのナカミをスプーンでグチュグチュにほぐしたところに、キンキンに冷やした黒糖焼酎を注ぐ。酒好き、果物好きにとっての、極上のカクテルの完成。すぐに注文し、東京に戻って、友人たちが集まってのパーティに持っていく。パッションフルーツカクテル(このときは、キンキンに冷やしたブドウのウォッカ〈シロック〉で)は大好評、そして心地よく酔い潰れていく友人たちの山(二日酔いがまったくない、というのもこのカクテルのスゴイところ)。翌朝、またまたパッションフルーツを食べると、シャキッと目が覚め、頭もクリアになり、元気がみなぎる、不思議な果実なのである。

日本のあらゆるところに、ほとんどの日本人に知られることなく、ものすごく美味い果実が実っている。これほどまでに、甘美なものを作り出せる、日本の生産者の凄さを毎夏、噛みしめながら、フルーツ特集をじっくりと育ててきた。

今回の特集の巻頭で、美味しいを知り尽くし、美味しいとは何かを日々考えている20人の食通たちに、フルーツの取り寄せ先を聞いた。読んでいるだけで、匂いが鼻からツーンと、甘みが口の中に広がる。小さな農家が多く、生産数も限られているから、なかなか手にはいらないかもしれないけれど、僕もオーダーをいまからしようと思う。

 
●︎杉江宣洋(本誌担当編集)
〈M.M Farm〉のマンゴーは、糖度が高く、そして清涼感もある。写真を見ればわかるとおり、ひとつひとつに袋掛けをして、熟した果実をキャッチ。全体が美しい赤紫色になるよう、銀紙をレフ板がわりにして、光を全体にまわす。作り手の“想い”が詰まった果実の旨味たるや。食べる側は、正座をして。いざ、臨むのである。
〈M.M Farm〉のマンゴーは、糖度が高く、そして清涼感もある。写真を見ればわかるとおり、ひとつひとつに袋掛けをして、熟した果実をキャッチ。全体が美しい赤紫色になるよう、銀紙をレフ板がわりにして、光を全体にまわす。作り手の“想い”が詰まった果実の旨味たるや。食べる側は、正座をして。いざ、臨むのである。



From Editors 2

アイスも、熟してます。

学生時代、恵比寿にあったジェラテリアの先駆け的なお店でアルバイトをしていました。まだアイスクリームは子どものおやつという印象が強かった当時、そこには食事を終えた大人達がデザートを求めてやってくる、ちょっと洒落た店でした。季節のフルーツを使ったフレッシュなジェラートはまだ珍しく、時には22時過ぎに行列ができることがある程の人気。ジェラートを盛りつけながら、お客さんとフレーバーの話で盛り上がる、そんなこともしばしばでした。
それから約20年。ジェラート、アイス、シャーベット、アイスキャンディetc.は、全国各地で厳選された素材を使ったものが作られ、本物志向がすっかり定着しています。

今号のブック•イン•ブックでは、ジェラート、キャンディ、ソフトクリーム、アイスサンドなど、今どきのアイスネタをたっぷり盛り込みました。
巻頭は、今春、小豆島にできたジェラテリアのストーリーです。

20年を経て、すっかり成熟したアイス情勢をおさらいし、ごく個人的に、感慨ひとしおの特集となりました。

 
●草野裕紀子(本誌担当編集)
オリーブや柑橘など、土地の果実がジェラートに。小豆島〈MINORIGELATO〉のショーケース。撮影:長野陽一
オリーブや柑橘など、土地の果実がジェラートに。小豆島〈MINORIGELATO〉のショーケース。撮影:長野陽一


 
ブルータス No. 827

フルーツ手帖

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