マガジンワールド


From Editors No. 835 フロム エディターズ

From Editors 1

漫才観るなら、テレビもいいけど、劇場もね。
漫才読むなら、ブルータスをね。
まずは個人的な話から少し。『THE MANZAI』による漫才ブームの時代はおそらく幼稚園ぐらいで、その凄さは未経験。欽ちゃん、ドリフにとんねるず…。お笑いといえば東京のコントが中心で、漫才で笑った記憶はあまりない少年時代。その後しばらく経った学生時代。たまたま深夜にチャンネルを合わせた番組(いまも続く、「ガキの使いやあらへんで!!」の初期だと思います)。そこで漫才をしていたのがダウンタウンでした。関西弁で繰り出されるやりとりの新鮮さと、刺激的な言葉遣い。初めて漫才の面白さに目覚めたのは間違いなく彼らの喋り。その後も『M-1グランプリ』などで漫才はチェックしていますが、それはあくまでテレビの中の芸。恥ずかしながら、舞台で生の漫才を見た事はなかったのであります。

今回、幸運なことに生の舞台をいくつか観る事が出来ました。客席からのみならず、舞台袖から、楽屋でのやりとりまで。出番を待つ芸人さんの息づかいや緊張感、そして生の迫力と面白さ。テレビの漫才と劇場の漫才はまるで別モノですね。例えば、東京グランド花月(なんばグランド花月東京公演)でのオール阪神・巨人師匠。喋りの中に、歌やものまね…15分の持ち時間、あらゆる技を駆使して会場を笑いで包む。これはテレビではあまり体験できないことでしょう。ある芸人さんは取材でこう話していました。「テレビの収録はネタの持ち時間も短いし、観覧席に若い女性のお客さんを入れる事が多いんです。演芸場は日によって性別も、年代もバラバラ。客層を見て、直前でネタを変える事も多いんですよ」。

テレビで見る漫才はもちろんいいんです。いいんですが、今回の特集では、劇場で観る漫才の魅力もしっかりお伝えします。さらに、新たな漫才の楽しみ方を提案すべく、「読む漫才」という実験的な企画も用意しています。昨年から『M-1グランプリ』も復活。落語ブームといわれる昨今ですが、漫才も負けてはいませんよ。ブーム再燃前夜、その魅力をコッテコテに詰め込みました。サンパチマイク一本で笑いを生み出す究極の立ち話。漫才は、観ても、聴いても、読んでも面白いんです。

 
●︎︎星野 徹(本誌担当編集)
東京グランド花月公演の開演前。吉本新喜劇花月うどんの暖簾をくぐる今津聡子カメラマン。子どもの頃からの夢が叶い感無量。
東京グランド花月公演の開演前。吉本新喜劇花月うどんの暖簾をくぐる今津聡子カメラマン。子どもの頃からの夢が叶い感無量。

大阪なんばにある吉本漫才劇場。そのビルにある上方演芸資料館で、大阪の笑いの歴史を学ぶ。
大阪なんばにある吉本漫才劇場。そのビルにある上方演芸資料館で、大阪の笑いの歴史を学ぶ。



From Editors 2

劇場で漫才の後は、聖地巡礼を!

東西漫才の聖地と言えば、浅草となんば。今回、東の聖地〈浅草フランス座演芸場東洋館〉周辺の浅草六区と西の聖地〈なんばグランド花月〉周辺で、芸人さんたちが愛する飲食店を、イラストマップにしました。取材をしていた喫茶店に、普通に芸人さんが入って来たり、なんてこともあるくらい、普段使いのお店ばかりです。

浅草〈くじらの店 捕鯨舩〉のご主人・河野通夫さんは、元浅草芸人。ベテランから若手まで、芸人さんたちが寄せる信頼は大層厚いものです。サインを書くと売れるという噂がある店内の壁には、隙間がないほど芸人さんたちのサインがビッシリ。売れて有名になってからも変わらず訪れる方が多く、大物芸人さんたちとご主人のスナップが店内を飾ります。

食べて飲んで、劇場で観て来たネタについてしゃべれば、2度笑えて、更に楽しい夜になること請け合いです。

 
●草野裕紀子(本誌担当編集)
名物の、牛モツの煮込みの仕込みをする、〈捕鯨舩〉のご主人・河野通夫さん。
名物の、牛モツの煮込みの仕込みをする、〈捕鯨舩〉のご主人・河野通夫さん。