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「カレーには作る人の内面とか心が出ると思う」 From Editors No.918

From EditorsNo.918 フロム エディターズ

「カレーには作る人の内面とか心が出ると思う」

幼い頃、祖母が作るカレーが大好きでした。台所から玉ねぎを炒めた甘い香りがリビングまで広がる、今日はもしや? 甘い香りが次第にスパイシーな香りへと変化して確信する。今日はカレーだ! 夕飯になったら、ご飯の上に「これでもか!」ともりもりにカレーをよそい、たいらげ、そのままソファーで寝る(親に怒られる)。それが、年齢を重ねるごとに、そのカレーにチーズを入れてみたり、ウースターソースをかけたり、自分なりにアレンジするようになっていきました。一人暮らしを始めたら、スパイスカレーに目覚め、友達に、女の子に、カッコつけたくて自分なりのカレーを創作……。

振り返ってみると、自我の目覚め、成長、ライフスタイルの変化と共に、カレーの好み、食べ方も変わっていることに気づかされました。今回担当した「あの人の家カレー。」で、文筆家、ミュージシャン、俳優、芸人、様々な職種の人に「家カレー」について聞くと、子供が生まれて家庭環境が変わったり、強烈な出会いがあったり、それぞれのカレーにドラマが。だいたいの人が話し出すと止まらないので、取材は1時間越えることもしばしば(各1Pにまとめるのに、苦労しましたね……)。

個人的に一番パンチラインだと感じたのは、BiSHのセントチヒロ・チッチさんの「カレーには作る人の内面とか心が出ると思う」という発言。カレー店を取材するとき、何度もこの言葉がチラつきました。
東京も、大阪も、札幌も、今回登場するカレーは、店主の“人となり”が現れていて、単純に“美味しい”から魅かれるだけじゃなくて、作り手のライフストーリーも込みで“推せる”カレー店ばかり。

複雑なスパイスの配合の奥に潜むドラマ、是非、お店で堪能してみてください。

●恩田栄佑(本誌担当編集)
BRUTUS 918号:From Editors
恥ずかしいけど最近作ったカレーを公開! 鳥もも肉とココナッツミルクのカレーはここ最近でもベストな仕上がり。カレー粉はインデラカレーが間違いない。


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